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アナタがそう云うのなら

「何かあったのか」と、云われ、紫龍はとっさに、何でもありませんと答えたが、
彼にはちゃんと告げなくてはいけないことを思い出す。
「いえ、あの実は、ごめんなさい」
「うん、どうした?」

シュラの大きな膝の上に乗せられると、ドラマで見た場面みたいだ。
もっとも、それは父親と小さな子供だったが。
だが、これからの自分の告白だって似たようなものだと紫龍は苦笑する。
その間もシュラの手は優しく紫龍の髪を撫でてくれる。
「ごめんなさい」と、もう一度、紫龍は繰り返した。

「アナタに頂いた帽子を無くしてしまいました」
その途端、ぽろぽろと涙が出てきた。
「って、泣くほどのことか、俺は怒ってないぞ、というか、誉められることだろう」
紫龍が車の事故から小さな子供を救ったと、先程、教皇の執務室で小耳に挟んでいる。

「いえ、それは全然関係ないんです」と、紫龍はシュラを遮った。
「その後で町を歩いてて落としたみたいです。今頃、踏みつぶされているのかも。ごめんなさい」
「そんなこと無いと思うぞ」と、シュラは優しく続けた。
「きっと帽子が無くて寒くて困っている子供が拾って使ってるかもな」

「拾った帽子を使う人なんてめったに居ません」
「めったに居るかもだろう。明日になったら、又、新しい帽子を買いに行こうな」
「新しいのなんて欲しくない」
「そうか?」

そう、シュラはだだっこの頭を何度も撫でてくれる。
ああ、そうかと思い出す。
シュラが面白半分で被せてくれた帽子。
「意外と似合うな」
「面白がっているだけでしょう」と、云いながら、
その白いニットの帽子を被っていたのは、
そうしていれば、いつも大きな手が側にあるような気がしたからだ。

頭の上がいつも温かいから。
今は本物の大きな手に委ねていよう。

「まあ、アナタそう云うのなら、新しい帽子にしてもいいですよ」
「紫龍はいいこだな」
「いいことか云われる年ではない」
「そうだな」と、笑ってくれる優しい人の温もりに包まれながら。

そして、紫龍は白い帽子を被って、元気に走り回る子供の夢を見る


――――――――――――――――――――――――――
Yさんへ。らぶ。
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2010-12-08 : 山羊龍-SS : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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